仕事が出来ない人を見てイラッとしたら

私がまだ若い頃のことです。
当時、一緒に仕事をすることになった50代半ばの男性がいました。
元々その方は会社が分社する前にバックオフィス系の業務に就いていましたが、事業再編で元の業務がなくなったため、部署ごと営業職に転換となり、誰の目から見てもスキルのミスマッチがあることは明らかでした。

こちらがお願いしたことが出来ない以前に、依頼内容の理解もおぼつかない様子でしたが、職務分掌上どうしてもその方にやってもらわなくてはなりません。ですが、出来るだけかみ砕いて説明してお願いしてもミスが続くので、私の仕事の納期にも影響が出始めます。

ある時のこと、オフィスの電話でその方と話をしていた私は、段々とヒートアップしてしまい、
「いい加減にしてください!何で言ったこともちゃんとできないんですか!!
そんなんだったら、会社やめたほうがいいんじゃないですか?!」
と電話口で声を張り上げてしまいました。周りはびっくりしてシーンとしています。

その後しばらくして、私は別の部署に異動となって、その方と一緒に仕事をすることはなくなりました。勤務場所も違うので顔を合わせることもなくなり1年ほど経った頃、別の方からその男性が会社を辞めたと聞いたのです。
私の発言が直接の原因だったかは知る由もありませんが、定年まであと数年のところで、30年以上も勤めた会社を辞めるということは、とても大きな決断だったのに違いありません。
私は、自分の発言の浅はかさを後悔しました。今でも後悔しています。

相手がお願いしたことをやってくれなかったり、仕事が出来ない人を見るとイライラすることは、誰でもあるでしょう。人間だから仕方ないことです。
ですが、それを実際の行動として出してしまうと、相手を不快な気持ちにしてしまいます。そして、自分では気づかなくても心の底で自分自身も不快にしています。

自分に厳しい人は、常に気を張って最大の成果が出るように一生懸命に仕事をしています。自分で自分にプレッシャーを与えている訳です。そして、ほぼ無意識にそのまま他人にも同じことを求め、プレッシャーを与えることをしがちです。

同じことを自分よりもっと仕事ができる人からされてしまったら、どうでしょうか?
私だったら、きっと劣等感にさいなまれて仕事が手につかなくなります。

また、それほどまでの厳しさで働き続けると、心が休まる暇がないため、回りまわって自分自身を苦しめることにも繋がります。
本人としては相手も含めて、全体として仕事を成功させようとしてやっているつもりですが、結果的に外にも内にもマイナスの結果を得るエネルギーを発しているのです。

ですから、仕事が出来ない人を見てイラッとすることがあっても、そのまま感情をぶつけないこと。視座を上げて相手にも自分にも良い言葉を探し、3日置いてから話をするくらいでちょうどいいのです。


Point
他人に対してイライラをぶつけるのは自分にも厳し過ぎる証拠。一呼吸おいて、視座を上げてみる。