辛さから抜け出す方法は、技術として学べる

 私は、20代の頃から四半世紀余りの長い間に渡って働く辛さから抜け出すために沢山の方法を試してきました。書籍を読んだり、占いに頼るといった行為もカウントすると、1,000は行かないまでも数百は試していると思います。
 どの方法もそれなりに効果や気づきをもたらしてくれましたが、正直に言うと、これ1つだけやっていれば良いという魔法のメソッドはありませんでした。また、それなりに時間もかかります。(あくまで私個人の体験で、1つの手法が劇的に効く方もいるかもしれません)。
 長く取り組んでいく中で、気づいたことが2つあります。1つ目は、置かれた状況に対するネガティブな反応というのはレベル分けが可能だということ。
 2つ目は、辛さから抜け出す方法が世の中に確かに存在し、それは技術として学べるということです。
 

ネガティブな反応にはレベルがある

 辛さを感じた時、実際に自分がどう反応するかは人それぞれです。また、その時によって反応も違います。レベル分けをすると、以下のような感じです。

  例えば、楽しく仕事をしてくためのメソッドとして、自分の夢やワクワクすることを書き出してみましょうというやり方があります。幸せを手にいれるためのメソッドとしては大変良いものですが、怒り・悲しみ、虚無感を感じている状態でこれをやっても、一時的に気は紛れるかもしれませんが、ほとんど効果がありません。自分のネガティブ反応レベルに応じて、メソッドを使い分ける必要があるのです。

それぞれのレベルに合った方法とは

 ネガティブな反応が強く出ていると、おそらく鬱に近い症状を抱えて居られると思います。そのため、まずしっかり休んで、体と頭を仕事から切り離すことが最も重要です。また、最近の研究では食生活を変えることも効果があると言われています。(以前、卵を毎日食べ続けて鬱から抜けたという記事を読んで、私もとても参考にさせてもらいました。)

 虚無感(何とか働けるが、思考力ゼロ)を感じている場合、心の健康レベルがマイナス状態にあるでで、それをいきなりプラスに持って行くのではなく、まずレベルがゼロになることを目指します。
 ”楽しい”や”幸せ”といった良い感情を感じにくくなっている状態ですので、日常に自分が”心地よい”と感じることをする時間を作って、ホッとできる機会を意識的に増やします。例えば、美味しいケーキを食べたり、好きな本や漫画を読んだり、音楽を聴いたり。小さいことで良いので、自分が心地よいと思うことをします。特に思いつかないという方は、五感で感じるものを試してみてください。緑あふれる公園を歩いて風を感じたり、アロマを試したり、新しいタオルに変えて肌触りの心地よさを感じたり。これを続けていくことで、次第に変化があるはずです。

 怒り・悲しみが強い場合は、他のレベルに比べると、怒り・悲しみというエネルギーを出すことが出来る分だけエネルギーがある状態です。怒りや悲しみの原因となるのは苦手な上司や、理不尽な要求への対応、劣等感だったりと人によって様々だと思いますが、原因と感じているものが何であるにせよ、そこに反応している自分の心の方に目を向けないと抜け出すことができません。
 恐らく、この状態にある方は、これまで一生懸命に頑張って、限界まで我慢を重ねて来られたのではないでしょうか。その中で、自分の気持ちを大事にしてこなかったということは無いでしょうか?
 我慢を重ねると、「私はこんなに我慢しているのだから」と人にも我慢を求めるようになります。自分を大事にできないと、人のことも大事にすることができなくなります。そのため、抜け出し方としては、”我慢しない”、”自分を労る”ことを徹底し、自分を大事にすることを第一に据える必要があります。気の進まない頼まれごとは断ってください。休みたいときは休んでください。趣味や家族との時間を増やし、自分が”快”と思うものを一番に選んでいくことで、驚くほど変化があると思います。

 モチベーション低下状態や、時々ネガティブになるという方は、「夢ややりたいことが見つからない」「やりたいと思って選んだ仕事なのに楽しくない」と思われている方が多いのではないでしょうか。会社や職種は、自分がやりたいことの実現手段でしかないため、それ自体を目的にして就職してしまうと、「思っていたのと違う」ということになりかねません。そのため、なりたい職業ではなく、やりたいことを軸に考えていく必要があります。
 ただ、いきなりやりたいことを挙げてと言われても、普通は難しいのではないでしょうか。ですので、そのヒントとして、まずは”やりたくないこと”を挙げてみることをお勧めします。定型的な仕事が嫌、毎日出勤するのは嫌、数字に追われるのが嫌・・・自分が感じる不快なことが無い仕事は何か考えてみます。
 更に、自分が大事にしたい価値観は何かも考えていきます。価値観というと大袈裟に聞こえるかもしれませんが、仕事を通してどんな感情を得たいか?ということです。例えば、ある方は建設関係で法人向け営業をしていましたが、サービスを利用するお客様から直接ありがとうと言われる仕事がしたいと飲食業に転職されました。また、別の方は、世に出るものを自分で作り上げて達成感が欲しいと考えてライターをされています。
 やりたくないことと、感じたい感情を重ねることで、やりたいことにだいぶ近づけると思います。しかしながら、どこかに自分が思うやりたい仕事がポーンと完全な形で存在することはまずありません。目の前の仕事と向き合いながら、少しずつ自分の思う道に進んで、気づいたらやりたいことをやれていたというのが実際かと思います。自分の選択基準を磨くしかないのです。
 やりたいことの見つけ方については、そのケースに応じた色々なメソッドがありますので、また別の機会でもお伝えしたいと思います。

時間はかかるかもしれないけれど、きっと抜けられる


  色々お伝えしてきましたが、今、何かを試してみる元気さえ無いという方も居られると思います。その場合は、まずは体の元気を取り戻すことに集中してください。また、試したけれど、すぐには変わらないということもあるかもしれません。
 どんな場合も、決してご自分を責めないでください。大事なのは、自分の心がどういう状態にあるかを無視せず、自分を労わりながら過ごしていくことです。辛かった日々には意味があったとわかるときがきっと来ますから。